FXのスワップとは? 仕組み・計算方法・注意点を初心者向けにやさしく解説
FX(外国為替証拠金取引)では、「スワップポイント」という言葉をよく耳にします。スワップポイントとは、通貨ペアを保有したまま日をまたいだ際に発生する「金利差の受け取りまたは支払い」を指します。一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、仕組みを理解すれば、相場変動に依存せずに利益を狙う手法として活用することも可能です。
ただし、金利差を利用した取引にはリスクも伴います。値動きの逆行やマイナススワップ(支払いが発生するケース)に注意しなければ、思わぬ損失につながることもあります。そのため、「仕組み」や「発生タイミング」「リスク」を正しく理解したうえで運用することが大切です。
本記事では、スワップポイントの基本から、仕組み・計算方法・高金利通貨の特徴、そして運用時の注意点までを初心者向けにわかりやすく解説します。スワップの基礎を押さえることは、FXのもう一つの魅力である「金利収益」をトレード戦略に組み込むヒントになります。まずは、デモ口座で感覚を掴んでみましょう。⇒ デューカスコピー・ジャパンのデモ口座開設
スワップポイントとは
スワップポイントとは、FXで通貨ペアを日をまたいで保有した際に発生する「金利差調整額」のことです。各国の政策金利の差に基づいて発生し、金利の高い通貨を買って低い通貨を売ると差額分を「受け取る」ことができます。逆に、金利の低い通貨を買い、高い通貨を売ると「支払う」ことになります。
つまりスワップポイントとは、「通貨間の金利差を日次で受け渡しする仕組み」であり、為替差益とは異なる「第2の収益源」となる可能性があります。
FXのスワップポイントと金利差
FX取引では、2つの通貨を常にペアで扱います。たとえば「USD/JPY(ドル円)」の場合、アメリカの政策金利(ドル)と日本の政策金利(円)の差がスワップポイントとして反映されます。
以下、スワップポイントの受払いの一般的な傾向を示します。
| 通貨ペア | 買いポジション時 | 売りポジション時 |
|---|---|---|
| USD/JPY(米ドル/円) | プラススワップ(受け取り) | マイナススワップ(支払い) |
| AUD/JPY(豪ドル/円) | プラススワップ(受け取り) | マイナススワップ(支払い) |
| EUR/USD(ユーロ/米ドル) | マイナススワップ(支払い) | プラススワップ(受け取り) |
たとえば「日本の金利が0.5%、米国の金利が5.0%」の場合、金利差は4.5%です。このとき、USD/JPYの買い(円を売ってドルを買う)ポジションを持つと、プラスのスワップポイントを受け取れます。
ただし、金利差が小さい場合やFX会社のスワップ設定によっては、両方向でマイナススワップになることもあります(スワップポイントの一部は取引コスト(手数料)であるため)。
スワップポイントが発生する場合
スワップポイントは、日をまたいでポジションを保有したときに発生します。具体的な例を見てみましょう。
例:USD/JPYを1ロット(10万通貨)買いポジションで保有
- 米国の政策金利:5.0%
- 日本の政策金利:0.5%
- 金利差:4.5%
この場合、1日あたり1,000円~2,000円程度のプラススワップが発生する可能性があります。
反対に「USD/JPYを売りポジション」で持っている場合は、同程度の「マイナススワップ(支払い)が発生します。このように、ポジション方向(買い・売り)によって、スワップポイントの方向(受け取り・支払い)が正反対になります。
スワップポイントが付与されるタイミング
スワップポイントは、取引日が切り替わる「ロールオーバー(Rollover)」のタイミングで自動的に計上されます。多くのFX会社では、日本時間の午前6〜7時前後(サマータイム期間は1時間早まる場合あり)に処理されます。
ただし、水曜から木曜のロールオーバーでは週末2日分を含めて3日分がまとめて処理される点に注意が必要です。
| 曜日 | スワップ計上日数 |
|---|---|
| 月曜 | 1日分 |
| 火曜 | 1日分 |
| 水曜 | 3日分 |
| 木曜 | 1日分 |
| 金曜 | 1日分 |
この仕組みを理解しておくことで、「いつ受け取れるか」「どのタイミングで支払いが増えるか」を予測しやすくなります。詳しくは、デューカスコピ・ー・ジャパンのFXスワップポイントカレンダーをご参照ください。 ⇒ JFOREXのスワップポイントカレンダー
スワップポイントのメリット
スワップポイントの最大の魅力は、相場が大きく動かなくても収益を得られる可能性がある点です。為替差益とは異なり、保有しているだけで日々スワップが積み上がるため、いわゆる「スワップ運用(スワップ投資)」として長期的に資産を増やすことを狙う手法も存在します。
主なメリットは以下の通りです。
金利収入を得られる可能性:
金利差がある限り、ポジションを維持することでスワップが積み上がる。
長期保有戦略に向いている:
レバレッジを抑え、値動きに左右されにくい「スワップ積立」も可能。
複利効果が狙える:
スワップ収益を再投資することで、資産を効率的に増やせる可能性がある。
ただし、金利差は各国の金融政策によって常に変動します。中央銀行が利下げを行えば、プラスだったスワップがマイナスに転じることもあるため、金利差が「固定ではない」点を必ず理解しておきましょう。
スワップ授受の仕組み
FXにおけるスワップポイントとは、通貨ペアを構成する2つの国の金利差によって発生する「受け取り」または「支払い」のことです。FX取引は常に「片方の通貨を買い、もう片方を売る」という構造になっており、この金利差がスワップポイントとして毎日、自動的に口座へ反映されます。
たとえば、アメリカの金利が高く、日本の金利が低い場合に「USD/JPY(ドル円)」を買うと、ドルの高金利を受け取り、円の低金利を支払うため、差額がプラススワップ(受け取り)として加算されます。
反対にドル円を売ると、今度は金利差分を支払うマイナススワップが発生します。このように、同じ通貨ペアでも買い・売りの方向で結果がまったく異なるのが特徴です。
スワップポイントは変動する
スワップポイントは固定ではなく、次のような要因で日々変動します。
- 各国の政策金利や短期金利の変化
- 為替市場の需給バランス(需給の偏りによる調整)
- FX会社ごとの設定方針やスプレッド構造
たとえば、米国が利下げを行えば、ドル円のプラススワップは減少し、場合によってはマイナスへ転じることもあります。したがって、スワップを狙う運用では、金利動向と政策変更のリスクも常に意識しておくことが重要です。
スワップポイントの計算イメージ
スワップポイントは、2通貨の金利差をもとに概算できます。たとえば次のような条件の場合:
- 米国金利:5.0%
- 日本金利:0.5% → 金利差4.5%
このとき、USD/JPYを10万ドル(1ロット)保有すると、おおよそ次のようなスワップが発生します。
- 10万ドル × 4.5% ÷ 365日 ≒ 約13ドル(約2,000円)/日
実際の金額はFX会社や取引条件によって異なりますが、日々このような形でスワップが自動的に付与(または徴収)されます。
運用におけるポイント
スワップ授受の仕組みを理解することは、単なる金利差狙いにとどまらず、長期保有戦略や分散投資の設計においても非常に重要です。どの通貨を買うか・売るかによって、結果は利益にも損失にもなり得ます。したがって、常に次の2点を意識することがスワップ運用成功の第一歩です。
- どの国の金利が高いか/低いか
- 今後の金融政策(利上げ・利下げ)の方向性
スワップポイントが比較的高い通貨ペア一覧
スワップポイントは、各国の政策金利の水準差によって大きく左右されます。一般的に、金利の高い国の通貨を買い、金利の低い国の通貨を売ることで、プラスのスワップ(受け取り)が発生しやすくなります。ここでは、2025年時点で比較的スワップポイントが高いとされる代表的な通貨ペアを紹介します。
代表的な高スワップ通貨ペア(例)
| 通貨ペア | 主な特徴 | 金利差の背景(2025年時点の傾向) | 想定スワップ傾向(買いポジション) |
|---|---|---|---|
| USD/JPY(米ドル/円) | 世界で比較的取引量の多い基軸通貨ペア | 米国は高めの政策金利、日本は低水準の政策金利 | プラスになる可能性あり(受け取り) |
| MXN/JPY(メキシコペソ/円) | 現在、比較的金利水準が高い国の通貨の代表格。メキシコ中銀は現在年利10%前後を維持 | 高めの傾向になる | プラススワップ(長期保有向け) |
| TRY/JPY(トルコリラ/円) | 比較的金利水準が高い通貨 | インフレ抑制のため政策金利を比較的高水準に維持 | 比較的ボラティリティ高い水準にあります |
| ZAR/JPY(南アフリカランド/円) | 資源国通貨としてスワップ投資の定番「資源国通貨の一つとして、スワップポイントの付与対象となる通貨です | 物価対策で比較的高金利政策を継続 | 中程度のプラススワップ |
| AUD/JPY(豪ドル/円) | 安定性と金利水準のバランスが比較的良い | 豪州中銀が中立金利スタンスを維持する意向とされています。 | ややプラススワップ |
| NZD/JPY(ニュージーランドドル/円) | 豪ドルと並ぶ人気通貨。ボラティリティ控えめ | インフレ抑制のため比較的高めの金利 | プラススワップ(中程度) |
スワップ運用の考え方
スワップ運用は、安定的な金利収益を得られる一方で為替変動リスクも伴う点に注意が必要です。特に高金利通貨(メキシコペソ・トルコリラなど)は金利収入が魅力的な反面、為替の下落リスクが高い傾向があります。
長期的に安定した成果を目指すには、次のバランスが重要です。
- スワップ収益 > 為替差損 となるようにリスクを管理する
- 過度なレバレッジを避け、長期保有を前提にした運用を行う
- 政策金利・物価・為替トレンドを定期的にチェックする
スワップ運用を成功させる鍵は、「高金利=高リスク」であることを前提に、金利差と為替変動の両面を冷静に分析する姿勢です。
スワップポイント運用の主なリスク
スワップポイント運用は、通貨間の金利差を活かしてコツコツ利益を積み上げる手法ですが、為替変動や政策金利の変化次第で損失に転じるリスクもあります。特に高金利通貨は値動きが大きく、金利収益よりも為替差損のほうが上回るケースも少なくありません。したがって、安易な「高スワップ狙い」はリスクも伴います。
主なリスクは次の7点です。
為替変動リスク
通貨の下落(通貨安)が進むと、日々のスワップ益が一気に相殺される可能性もあります。とくにトルコリラ(TRY)、メキシコペソ(MXN)、南アフリカランド(ZAR)などの新興国通貨はボラティリティが高いため注意が必要です。
金利・政策変更リスク
各国の中央銀行が利上げ・利下げを行うと、スワップポイントは即座に変動します。プラススワップが突然マイナスに転じるケースもあり、「固定収益ではない」点を理解しておくことが重要です。
レバレッジ・証拠金リスク
高レバレッジで長期保有すると、相場急変時にロスカット(強制決済)が発生する恐れがあります。証拠金維持率を高く保ち、余裕をもったポジション管理を徹底しましょう。
スプレッド拡大・流動性リスク
重要指標の発表時や週明けの窓開け時はスプレッドが広がり、約定拒否やスリッページが起きやすくなります。短期的に損益が悪化する要因となるため、イベント前後は特に注意が必要です。
ロールオーバー固有のリスク
水曜日には週末分の「3日分スワップ」がまとめて処理されます。プラススワップなら有利ですが、マイナス方向のポジションでは一時的な負担増加となる場合があります。FX業者ごとに計上タイミングが異なる点にも留意しましょう。
業者リスク
スワップ付与ルールや条件はFX会社によって異なり、事前告知のうえ変更されることがあります。約款・出金条件・手数料体系を取引前に必ず確認することが大切です。
税務・コストリスク
国内FX口座では、スワップ益は申告分離課税(税率20.315%)の対象です。また、スプレッドや取引手数料を考慮しないと、実質利回りが想定より低下する可能性があります。
スワップ運用で失敗しないためのコツ
- 余裕資金で運用:無理のない金額で行うことが大切。
- 通貨選びは「金利+安定性」重視:高金利だけでなく、財政健全性や流動性も確認。
- イベント前後はポジションを軽く:政策金利・CPI・雇用統計などの前後は建玉を調整。
- 分散投資と時間分割で平均化:一度に建てず、複数回に分けてエントリー。
- 損切り・撤退基準を明確化:証拠金維持率や直近の安値を基準にルールを設定。
- スワップ条件を定期点検:週1回の確認で改定や偏りを早期に把握。
- 実質利回りで評価:税金・手数料を差し引いた「手取りベース」で判断。
FAQ(よくある質問)
FXでスワップポイントが比較的高い国はどこですか?
スワップポイントによる利益が得られた場合、確定申告は必要ですか?
スワップポイントは現金化できますか?
Posted by 株式会社トリロジー
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