オンライン・チャート | FXのチャートの見方
FXや株式投資のチャート分析で頻繁に登場するのが「ダブルトップ」と「ダブルボトム」です。同じ水準の高値や安値が2度現れるこのチャートパターンは、トレンド転換の可能性を示す代表的なシグナルとして広く知られています。正しく理解すれば、エントリーの根拠付けやネックラインを基準にした損切り設定、到達目標の目安を客観的に判断でき、感覚に頼らない取引に一歩近づけます。
本記事では、ダブルトップ・ダブルボトムの定義と特徴、見つけ方の手順や実例、よくある「ダマシ(偽のブレイクアウト)」の見分け方を詳しく解説します。さらに、時間足ごとの形成期間の違いやネックラインの扱い方、確認のポイントも整理し、初心者でも実践に活かしやすい判断プロセスを紹介します。
(ダブルトップ/ダブルボトムはあくまで確率的なシグナルであり、資金管理や他の根拠との併用を前提に活用してください。)
FXのダブルトップ・ダブルボトムとは?
FXのチャート分析でよく登場する「ダブルトップ」と「ダブルボトム」は、上昇または下降トレンドの終盤に同じ水準の高値や安値が2回現れることで形成されるチャートパターンです。トレンド転換の可能性を示す代表的なサインとして広く利用されており、基本的な確定条件はネックラインを終値で明確に抜けることにあります。
実際のエントリー方法としては、終値でのブレイクを確認する、またはブレイク後にリターンムーブ(再テスト)を待ってから入るといった手法が一般的です。損切りは高値②(または安値②)の外側に設定し、利確目安は「パターンの高さを等幅に投影した値幅」を参考にします。
一方で、ダブルトップ・ダブルボトムには「ダマシ(偽のブレイクアウト)」も多く見られるため、ATR(14)※1の0.5〜1.0倍のバッファと終値判定を組み合わせること、さらに重要指標の直後など急変相場を避けることが推奨されます。形成期間は時間足や相場のボラティリティによって大きく異なるため、上位足の確認も欠かせません。
※1 ATR(Average True Range)は、値幅計算の1つです。ATRは、1日の平均的な値動きを計算するテクニカル分析です。
ダブルトップとは?
ダブルトップは、上昇トレンドの終盤に出現しやすいチャートパターンで、ほぼ同じ水準の高値が2回形成され、その間に谷(押し目)が挟まるのが特徴です。
- 構成:高値① ⇒ 押し目(谷) ⇒ 高値②(高値①と近い水準)
- 確定目安:谷の安値(ネックライン)を「終値で下抜け」した時点で、上昇トレンドからの転換シグナルとみなされるのが一般的です。
狙い方
- エントリー:ネックライン割れの終値確定、またはブレイク後のリターンムーブ※2確認後
- 損切ライン:高値②の少し上
- 利確ライン:高値とネックラインの差(高さ)を下方へ等幅投影した値幅
※2リターンムーブ(揺り戻し)。テクニカル分析の一つとして、リターンムーブ(揺り戻し)のサポートライン/レジスタンスラインの確認があります。
注意点
- 高値②が大幅に更新された場合はパターン失敗の可能性が高くなりやすい
- 指標発表直後などの急変相場ではダマシが増えやすい
- 出来高データが限られる店頭FXでは、ATRなどのボラティリティ指標を補助的に活用することを考慮
ダブルボトムとは?
ダブルボトムは、下降トレンドの終盤に出現しやすいチャートパターンで、ほぼ同じ水準の安値が2回形成され、その間に戻り高値が挟まれるのが特徴です。
- 構成:安値① ⇒ 戻り(山) ⇒ 安値②(安値①と近い水準)
- 確定目安:戻り高値(ネックライン)を「終値で上抜け」した時点で、下降トレンドからの転換シグナルとみなされるのが一般的です。
狙い方
- エントリー:ネックライン上抜けの終値確定、またはブレイク後のリターンムーブ確認後
- 損切ライン:安値②の少し下
- 利確ライン:安値とネックラインの差(高さ)を上方へ等幅投影した値幅
注意点
- 安値②を大幅に更新した場合はパターン失敗の可能性
- 指標発表直後などの急変相場ではダマシが増えやすい
- 出来高データが限られる店頭FXでは、ATRなどのボラティリティ指標を補助的に活用することを考慮
ネックラインとは?
ネックラインとは、ダブルトップやダブルボトムで形成される基準線のことを指します。ダブルトップでは2つの山の間にできた谷(押し目)、ダブルボトムでは2つの谷の間にできた戻り高値を結んだ水平ラインをネックラインと呼びます。
ネックラインの引き方
- ダブルトップ:谷の安値に水平線を引く
- ダブルボトム:戻り高値に水平線を引く
ブレイク判定
- ヒゲ抜けではなく、終値での確定を基準とする
- ATR(14)の0.5〜1.0倍以上の乖離を条件に加え、有効性の向上を狙う
運用上のポイント
ブレイク後にリターンムーブを確認できれば信頼度の向上が期待できるが、機会損失のリスクもあります
補足
ダブルトップやダブルボトムの形成期間は、時間足や相場環境によって大きく異なります。短期足では「見かけ上の二山・二谷」が頻発し信頼度は下がりやすい一方で、上位足の節目やトレンドと重なるパターンは一般的に再現性が高まりやすい傾向があります。
FXのダブルトップ・ダブルボトムの使い方・実際の事例
ダブルトップやダブルボトムを見つける際は、まず直前のトレンド方向を確認することから始めます。そのうえで、同水準の2つの山(または谷)を特定し、谷の安値や戻り高値を結んでネックラインを引きます。ブレイクは終値で判定し、さらにATR(14)の0.5〜1.0倍程度のバッファを満たすまで待つことで、ダマシ(偽のブレイクアウト)を回避しやすくなります。
ブレイク後にネックラインへ戻って反転する「リターンムーブ」を確認できれば、シグナルの信頼度は上がります。リスク管理は事前設定が前提であり、損切りは高値②/安値②の外側、利確は「パターンの高さを等幅に投影した値幅」を目安に分割決済で回収するのが現実的です。
後述の例1ではネック割れによる下方向転換、例2ではネック上抜けによる上方向転換を想定します。ただし、重要指標の直後など急変相場ではダマシが増えるため、イベントカレンダーとATRなどのボラティリティ指標を組み合わせて判定の一貫性を高めることが重要です。
見つけ方
- 直前のトレンドを確認:上昇トレンド後はダブルトップ、下降トレンド後はダブルボトムの可能性を考慮。
- 二つの山(谷)を特定:高値(安値)がほぼ同水準。乖離は数十pips以内が目安(時間足によって調整)。
- ネックラインを引く:ダブルトップは谷の安値、ダブルボトムは戻り高値。
- 終値でのブレイクを待つ:ヒゲ抜けはダマシが多い。ATR(14)の0.5〜1.0倍を加味して判定精度の向上を目指す。
- リターンムーブを確認:ブレイク後にネックラインへ戻って反転すればシグナル強化を示唆。
- 損切りと目標値を事前設定:損切りは直近高値/安値の外側、目標値(利確ライン)は高さの等幅投影。分割決済で現実的に利益の確保を目指す。
例1:ダブルトップ(上昇後の転換候補)
- 状況:上昇後にほぼ同水準の高値が2回出現。谷の安値=ネックライン割れで下方向転換の可能性を示唆。
- エントリー:終値でネックライン下抜け、またはリターンムーブからの再反落を確認。
- 損切ライン:高値②の少し上。
- 利確ライン:高値②とネックラインの差(高さ)を下方へ等幅投影。
例2:ダブルボトム(下降後の転換候補)
- 状況:下降後にほぼ同水準の安値が2回出現。戻り高値=ネックライン上抜けで上方向転換の可能性を示唆。
- エントリー:終値でネックライン上抜け、またはリターンムーブからの再上昇を確認。
- 損切ライン:安値②の少し下。
- 利確ライン:ネックラインと安値②の差(高さ)を上方へ等幅投影。
運用上のポイント
- 重要な指標直後や極端な低流動性の時間帯はダマシが発生しやすいため注意。
- イベントカレンダー+ATRなどのボラティリティ指標を組み合わせると判定の一貫性が高まる傾向がある。
FXの「ダブルトップ・ダブルボトムのダマシと回避策・例
ダブルトップやダブルボトムはトレンド転換の代表的なシグナルですが、「ダマシ(偽のブレイクアウト)」が発生することがあります。ダマシを避ける基本は、終値での確定と十分なブレイク幅を同時に確認することです。
具体的には、
- 終値がネックラインから「0.5〜1.0 × ATR(14)」以上離れて確定するまで採用を保留
- さらに「2本連続で終値維持」または「リターンムーブからの反転」を確認
これらを組み合わせることで判定精度の向上を目指します。加えて、時間帯や重要指標の直後はダマシが増えるため判定を厳格化し、上位時間足のトレンドやサポート・レジスタンスと整合しているかを必ず確認することが重要です。
補助的には、RSIやMACDのダイバージェンス(逆行現象、実際の相場とは逆行している状況)、ATRによるレンジ幅を比較、スプレッドの拡大や急な変動を注意信号として利用することで、再現性の向上を目指すと良いでしょう。
ダマシ判定の基本ルール(まとめ)
- 終値確定で判定:ヒゲ抜けは採用しない
- ATRバッファを加える:終値がネックラインから「0.5〜1.0×ATR(14)」以上離れていなければ「不十分なブレイク」
- 2本連続クローズ or リターンムーブ確認:ブレイク後に2本連続で終値維持、またはリターンムーブ ⇒ 反転を確認
- 時間帯・イベントを考慮:早朝・指標直後はダマシが多発、判定を厳格化
- 上位足の確認:上位足のトレンドやサポート・レジスタンスと矛盾するブレイクは要注意
例1:ダブルトップのダマシ(ベアトラップ)
一時的にネックラインを下抜けても、
- 終値がネック下で確定しない
- ATRバッファ未満の浅い抜け
- 直後に再びネックラインを上回り回復
といった動きは、ベアトラップ(下方向ダマシ)の典型です。
回避・対処
- 終値確定+ATRバッファを満たすまでは新規ショートを見送る
- 再奪還後に上昇が強い場合は、損切りルールに従い即撤退(事前設定が前提)
- 上位足が上昇トレンド継続中なら、パターン失敗を常に想定
例2:ダブルボトムのダマシ(ブルトラップ)
ネックラインを「上抜け気味」でも、
- 終値での上抜け幅がATRバッファ未満
- 2本連続の終値維持ができない
- 直後にネックを再び割り込み反落
といった場合は、ブルトラップ(上方向ダマシ)の典型です。
回避・対処
- 2本連続の終値維持、またはリターンムーブからの反発を待つ
- 指標直後や低流動性時間帯の「かすり抜け」はスルーする
- 上位足が下降基調なら、買いブレイクの信頼度を下げる
補助シグナル(任意活用)
- RSI・MACDのダイバージェンス:価格と勢いが乖離している場合はダマシを示唆
- ATRによるレンジ幅比較:ブレイク幅がレンジ幅に比べて小さいと失敗しやすい
- スプレッド拡大や急変動:店頭FXでは出来高データが限定的なため、注意信号として扱う
実際のポイント(ルール化の一例)
- 「終値がネックから≥0.7 × ATR(14)離れ、2本連続で維持」 ⇒ 有効ブレイクとして採用を検討
- それ以外は保留し、リターンムーブの反転を待機
- 損切りルールを機械的に適用し、被害を最小化
ダブルトップ・ダブルボトムを用いたFXトレードをはじめよう
ダブルトップ/ダブルボトムは、終値+ATRの定量条件とリターンムーブの確認という2本柱に基づき、エントリーから手仕舞いまでを数値的にルール化できるのが強みです。ネックラインのブレイク幅やリターンムーブの判定、損切り=直近スイング外側+ATRバッファ、利確ライン=「高さ(H)」を基準とした0.5Hと1.0Hの分割利確+トレーリングまで一貫してルール化できるため、場当たり的な判断や感情のブレを抑え、再現性と検証可能性を高めることが期待できます。
さらに、上位時間足のトレンド・節目+時間帯(ロンドン〜ニューヨーク市場の重複時間帯)を組み合わせることでノイズを減らし、「入る・待つ・やめる」の線引きがより明確になります。
まずは「デモ口座」や「過去検証(EA化も視野に)」を通じて、次のチェックリストを繰り返し確認してみましょう。⇒ デューカスコピー・ジャパンのデモ口座開設
- 終値とATR幅の判定
- 10本以内でのリターンムーブ確認
- R(許容損失0.5〜1.0%)の設計
- 0.5H & 1.0Hの分割利確の実行
これにより、結果を数値で比較でき、自分の口座条件に合わせた最適化もしやすくなります。感覚に頼らず「同じ条件なら同じ行動」を徹底できることこそ、この手法の最大のメリットといえるでしょう。
FAQ
ダブルトップとダブルボトムはどう違うの?
ダブルトップとダブルボトムはどのくらいの期間で形成されますか?
偽のブレイクアウト(ダマシ)を避ける方法はありますか?
このパターンが失敗する場合の特徴はありますか?
Posted by 株式会社トリロジー
免責事項
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、外為証拠金取引は元本や利益を保証するものではありません。レバレッジ取引のリスクなどはご自身の責任において判断してください。また、システム障害等で取引が中断・遅延する場合もあり、本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
本免責事項に記載のない事項については、別途定める契約締結前交付書面、取引約款等が適用されます。